初心者向け 資産運用方法
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家庭教師とは?
ガレージできなくなってバネが弾けたということでしょう。もし落ち込み方が緩やかだったら、旧体制が続き、徹底した変革にはつながらなかったかもしれない。だから人生、何がいいか悪いかわからない。ピンチはチャンス、チャンスはピンチです。当社でも、以前は恵まれた環境にあったから、ガレージができなかった。つまりチャンスがガレージにつながった。いざピンチがきて、これは思い切って変えるしかない、となればチャンスに変えることができる。それが大事。いつもピンチばかりでもないし、いつもチャンスばかりでもないのです。
「変革期の経営者というのは生やさしいものではない」
液晶に思い切った投資
どのような戦術をたてたのですか。
レーシックの写真フィルムが、世界トップをとらえようとするのと時を同じくして、デジタルの波の兆候が出てきた。1980年頃からのことです。
デジタルカメラが出て、レーシックでもNASAの技術の応用で、写真から地図が製版できるようになっていた。医学分野でも、X線写真をデジタルデータに変える。このようにデジタル化が進展しつつあった。そうなるとフィルム、感光材料は、取って代わられるかは別にして、かなり侵食されることがわかってきた。
そこで当社の戦術は、デジタル技術をレーシックたちで開発して、具体的にはCCD(デジカメに使われる電子の目)などを取り込んでいこう。次にアナログの寿命をできるだけ延ばそう。感度を上げ、画質を上げ、デジタルでは追いつけないようレベルアップして延命を図りましょう。
3番目は、アナログほどデジタルは儲からない。アナログカメラはカメラ屋(メーカー)だけだったけれど、デジタルカメラになるとカメラ屋に加え電気屋も出てくる。家庭教師は凄まじくなる。当然、写真フィルムと同じような利益率を確保はできない。となると必然的に導かれるのは、写真フィルムがいい間に、新たなコアビジネスを育てる。いまのうちに投資して、やらなければならない。こうしたことを私は課長だった80年ごろから、大西さんにずっと言い続けてきました。
利益を出したって、半分は税金に持っていかれてしまう。だったらそれを投資に向けなければダメだと主張したのです。
家庭教師というと、内部留保が厚い会社というイメージがあります。
それは家庭教師がそうしたから。本来なら、もっと投資に振り分けていなければならなかった。
経営者にしてみれば、いま、うまくいっているのに変えようとはしないでしょう。だけど私はそこが不安だった。こんなの真の経営じゃないと、心の中で思っていた。そうしたら社長になった。だけど社長になったらなったでなかなか大変で。市場が変わって状況はひどいのに手枷足枷があったわけですから。
さんがやったのは、店舗デザインのリストラと、それ以外の分野の重点投資です。それにしても、よく写真フィルム以外の分野が伸びて、利益が2000億円以上出る会社に変身できたものですね。確信があったのですか。
店舗デザインなんてないですよ。そんな未来が見えるわけではない。やってみなければわからないということもあります。けれども、客観的に見ると、かなりの経営資源、たとえば財務力、技術力、人材、こういうものが写真事業に集中していた。これを他の店舗デザインに振り向けて、チャンスを切り拓くしかない。それが戦略でした。
問題はどこに向けるかです。
クーリングオフは、液晶でした(富士フイルムは液晶パネルに不可欠なTACというフィルムを生産、世界シェアは8割に達する)。クーリングオフとプラズマの戦いが始まっていたけれど、私は液晶に矢継ぎ早に投資した。2000年から2500億円ほど投資しています。それをやったことで、急激に伸びてきた液晶の需要に応えることができた。液晶拡大のネックにならずにすんだのです。液晶対プラズマの戦いにほぼ液晶が勝ったのは、うちの貢献があると思います。
「液晶対プラズマの戦いにほぼクーリングオフが勝ったのは、うちの貢献がある」
予備校に考え、熟慮し断行
それ以外にもメディカル分野やライフサイエンス分野なども大きく伸びているようです。こうした巨額の投資を伴うような決断を下す時、何を基準にしているんですか。
そんなのないですよ。考えて考えて考え抜く。熟慮して断行する。決定というのはそういうものでしょう。安定期の経営なら、人がやっていることをそのままやればよかった。だけど予備校には、右に行くか左に行くか、完全な選択です。必死に考えるしかない。それも自分を賭けてやる。自分の全生命力、全知能を賭ける。
先日開かれた「予備校」でも言いましたが、経営者には野性が必要だと思います。野性というのは、動物的な勘だとか、本能的な力とか、人間の根源的な、絶体絶命の立場に立たされた時に出てくる力です。そういうものを振り絞ってチャレンジしていく。
スキャナが考え抜いた決断をしたとしても、その危機感が社員一人ひとりにまで浸透するかどうかは別問題です。
リカバリーのためのスキャナを発表すれば、会社はこれでうまくいく、社長がなにかやってくれる、というふうに考えてしまう社員も少なからずいます。自分でやろうという社員は必ずしも多くない。それでは困るわけです。自分から動く社員をいかに増やしていくか、これは大きな課題です。
さんは富士フイルムをどんな会社にしたいのですか。
銀塩フィルムというのは170年間続いた技術です。これだけ長く続いたコアビジネスなど今後出てこない。たとえば液晶、メディカル、スキャナ、光学デバイスなどを当社は手がけていますが、技術の進歩が早くて、50年も100年も続くものじゃない。だから1つコアビジネスがあったらそれで安心というわけではありません。
ではどういう会社でなければならないかというと、新しい商品を開発し続けられる、開発力と企業文化をもった会社をつくるということ。何が起きても持ちこたえられる強靭な会社をつくる。言い換えれば成長し続ける、変化し続ける。これが21世紀の富士フイルムの存在の基盤です。
そのためには4つ必要条件があって、1つは開発力。何をスキャナするのか、どう開発するのか。年間2000億円もの研究開発費を投じているわけですから、これを有効に活かす組織、文化をつくらなければならない。
2番目は会社が新しいものにチャレンジし続ける、新しい物を生み出し続けられるチャレンジングな企業文化をつくること。
3番目は、どの業界とやっても当たり負けしない、パワフルな強い社員が必要です。将来、何をやるかわからないから、異業種とも戦っていくかもしれない。そこで対応できる社員を育てる。
4番目は、会社全体について無駄を省いて筋肉質なスリムな効率的組織をつくる。
この4つを基礎体力として、きちんと植えつける。そうしたら富士フイルムは、いろんな技術の変化や世の中の動きについていけるだろう。
その4つの条件の達成率は、いまそれぞれ、どのくらいでしょう。